AVELO についての Q&A
AVELO ダイビングについて
なぜAVELOは従来のスクーバダイビングよりも安全性が高いのですか?
スクーバダイビングによる傷害の主な原因となるのが、水深の急な変化です。急な水深の変化に伴う周囲水圧の変動は、耳や鼻の圧外傷、さらにはより深刻な肺圧外傷の危険性を高めるます。また、速すぎる浮上によっては減圧症のリスクも生じます。こうしたリスクを防ぐために、ダイバーは常に中性浮力を維持する必要があります。それにはBCDを使いますが、周囲水圧が変わる毎にBCDの浮力も変化するので、常に調整しなければなりません。その調整がうまくできずに急浮上してしまうと圧外傷、減圧症の危険にさらされる可能性があります。
一方、AVELOではBCDを使用しないため、水深とその周囲圧力に影響されることなく常に中性浮力を維持します。これにより、急浮上に伴うリスクを最小限に抑えられます。
なぜAVELOでは水深が変わっても中性浮力を保てるのでしょうか?
従来のスクーバダイビングでは、沈むためにウエイトを用います。水中で中性浮力を維持するには、このウエイトの重力のバランスをとらなければならず、BCDに空気を入れたり排出したりして浮力を調整します。ダイバーの体積は一定なので、BCDの体積変化で生じる浮力を調整して中性浮力を維持します。
BCDの体積は「圧縮可能体積」といい、風船と同じく、外圧によって圧縮したり膨張したりします。深く潜ると水圧が高くなってBCDは圧縮しますが、浮上すると水圧が低くなってBCDは膨張します。このようにBCDの体積が変わることでダイバーの浮力が変動します。
AVELOでは、BCDを使わないためにこの圧縮可能体積をもつことがなく、ダイバーの浮力を変動させず一定に維持します。沈むには周囲の水の重力を使用します。AVELOのハイドロタンクは、独自の二室構造を採用しており、カーボンファイバーを用いたシリンダーの内部に空気を充填する圧縮可能なブラダーの一室と、このブラダーとシリンダー間に水を注入する一室があります。そこに注入した水の重力で体の浮力を相殺し、中性浮力を確保します。それによってフィンキックだけ潜降することができます。ハイドロタンクとその内に蓄えた水は圧縮しないので水圧による体積の変動がなく、ダイバーの浮力に影響を与えません。
BCDを使わずに潜るのは危なくないのでしょうか?
実は、AVELOはBCDの使用に伴う危険性をなくすことで、より安全なダイビングを実現しています。
それは、ダイビングギアの「故障点」を最小限に減らすことにあります。「故障点」とは、ダイブ中に故障した場合に問題が起こり得る部品やシステムのことです。BCDにはこの故障点が多く含まれています。
- ウエイトシステム:オーバーウエイトの状態が急降下の原因に、ウエイトポケットが落ちたり、ウエイトベルトが外れたりすると急浮上の原因になります。
- インフレーター:インフレーターの故障はBCDに空気を入れられなくなったり、逆に空気が出っぱなしになるフリーフローが起きたりする可能性があり、そうした際には浮力のコントロールが失われます。
- 排気バルブ:排気バルブが閉められなくなった場合にはBCDが膨張できず、逆に開けられなくなれば排気ができなくなります。いずれの場合も浮力のコントロールが失われます。
- BCDのブラダー:BCDのブラダー(空気袋)が破れたり、破裂したりして空気漏れが発生した場合にも、浮力のコントロールが失われます。
こうした故障点にトラブルが起こると、BCDは浮力コントロールを失います。その結果、急浮上や急降下が起こる可能性があり、圧外傷や減圧症の危険性が高まります。
AVELOは、BCDを使用しないためにこのような故障点がなく、より安全なダイビングが可能となるのです。
ダイビング中、AVELOにトラブルが起きたら?
AVELOシステムは、潜降前の水面でのみ作動し、浮力の微調整以外は水中で作動しません。水深が変わっても中性浮力は影響されず、フィンキックだけで潜降や浮上ができるため、電子故障やバッテリー切れが起こった場合でも安全に水面に戻ることができます。
ハイドロタンク内の水はパージバルブを開けて簡単に排出し、浮力を確保することができます。パージバルブを開けてハイドロタンクから水を流出させると、残圧の力によってブラダーがさらに膨張するため、ハイドロタンク内の水が押し出されます。これは機械的な構造なので、電子故障があった時また緊急時にも水の排出が可能です。
AVELO独自のスペシャルティ「Recreational Avelo Diver」コースでは、すべてのトラブルシミュレーションが実施され、対応策を練習します。
AVELOは自動的に浮力調整できるのでしょうか?
いいえ、ダイバーは自分自身で浮力調整を行います。
ただし、AVELOの体積は圧縮しないため、浮力が一定しています。そのため、中性浮力が確保できればそれ以上の大幅な調整は必要ありません。ダイバーの呼吸で空気を消費することにより、ハイドロタンクの重量が軽くなる場合がありますが、その場合にはハイドロタンクに水を加えて浮力を微調整します。こうした調整はダイブ中に1〜2回だけ行います。
緊急浮上はできるでしょうか?
もちろんです。
AVELO独自のスペシャルティ「Recreational Avelo Diver」コースでは、緊急浮上のスキルも練習します。
従来のダイビングでは、急に浮上するとBCDの膨張に対して排気が間に合わず、浮力が急速に増加してしまい浮上速度超過を起こすことがあります。そのため、緊急浮上の際にはBCDの排気を注意深く、懸命にコントロールする必要があります。
AVELOでは通常、フィンキックだけで浮上することができます。水深による浮力の変化がないためにBCDで必要とされるような排気によるコントロールは不要です。緊急時に浮力を増やす必要がある場合には、ハイドロタンクのパージバルブを開いて適切な水量を排出することで、浮上を容易にすることができます。
ドライスーツで潜ることはできますか?
もちろんです。
AVELO自体の浮力は変わらないので、ドライスーツの浮力のみを調整します。
ただし、ドライスーツには空気が入るので浮力が増加します。そのバランスをとるため、ウエイトが必要になります。AVELO独自のスペシャルティ「Recreational Avelo Diver」コースでは、適切なウエイト量の計算方法を学びます。
AVELOを使用したい
AVELOダイビングは、どこでできますか?
AVELOダイビングをするためには、「Recreational Avelo Diver」というトレーニング認定コースを受ける必要があります。AVELO認定ダイブセンターの申し込み受付は2023年末の開始予定ですが、それ以前にはAVELO本社があるハワイ・マウイ島で「Recreational Avelo Diver」コースを受講すれば、AVELOファンダイビングを楽しむことができます。
ハワイ・マウイ島で実施されているAVELOダイビングの詳細はこちらへ
ダイビング未経験者でもAVELOのダイビングライセンスを取ることができますか?
いいえ。
「Recreational Avelo Diver」コース受講の最低条件として、オープン・ウォーター・ダイバーか同等の資格を有している必要があります。その際に受けたトレーニングと経験の範囲内で「Recreational Avelo Diver」コースを受講することができます。
「Recreational Avelo Diver」コースでは、AVELO器材の正しい使い方や水中での緊急対応、器材メンテナンスなどを学びますが、前提としてダイビングに関する基礎的な知識やスキル、そして経験が必要です。
AVELOはどこで買うことできますか?
AVELO認定ダイブセンターで、トレーニングと器材が提供されます。
AVELOはいつから販売されますか?
北米では、2023年冬頃から提供される予定です。
日本では、AVELO販売について経済産業省と高圧ガス保安協会の認定を受ける必要があり、現在その申請と試験調査のプロセスが始まっています。行政上の都合を考慮しつつ、2024年夏頃の提供を目指しております。
AVELO認定ダイブセンターについて
ダイビングショップにとって、AVELOはどんなメリットがありますか?
ファンダイビングツアー時のインストラクターの負担を大幅に軽減します。AVELOでは、浮力が一定であるためゲストの急浮上がなくなり、インストラクターが追いかけて浮上するようなことがなくなります。
また、中性浮力がうまく取れないままでダイビングを楽しむことができず、ダイビングをやめてしまうという人は少なくありません。AVELOはそうした浮力コントロールの苦労を取り除くことで、ダイバーに中性浮力の心地良さとそれによるダイビングの楽しさを感じていただくことができます。
個人インストラクターは Recreational Avelo Diverの認定ができますか ?
現役(資格更新済み)インストラクターは Avelo Proコースに参加できますが、Recreational Avelo Diverの認定はAVELO認定ダイブセンターのみ行うことができ、認定を行うAvelo ProはAVELO認定ダイブセンターに所属している必要があります。
AVELOダイブセンターの条件はなんですか?
AVELOダイブセンターにご興味がある方は AveloDiveCenter@gdoutdoor.co.jp へご連絡ください。
技術的な詳細
ハイドロタンク の容積 (容量)は?
ハイドロタンクの容量は 3,000 L (106 Cu.Ft.) のガスです。
AVELO システムの温度制限は?
水温:氷点下45℃
気温:-20℃~60℃
詳細については、教育コースをご覧ください。
AVELOシステムのコンポーネントは何ですか?
コンポーネントの詳細については、ダイビング アベロ のページをご覧ください。
AVELO ハイドロタンク内のブラダーの素材は何ですか?
ブラダーは、レギュレーターホース、またはレギュレーターのシールや O リングと同じ素材で作られています。これらは、空気と高酸素混合物を呼吸するために特別に設計されたエラストマー(弾性に富んだ合成ゴム)です。
AVELOのハイドロタンクの認定機関は?
ハイドロタンクは、DOT UN/ISO 圧力容器 CA2019120503 として DOT (米国運輸省認定: Department of Transportation)に認定されました。DOT UN/ISO の指定は、ハイドロタンク が ISO 11119-2 設計仕様に例外がないことを意味します。
米国運輸省の特別許可(DOT-SP) は、圧力容器の製造者または設計者が設計基準の一部を免除したことを知っておく必要があります。DOT-SP 圧力容器は、圧力容器内の何かが設計仕様の 100% に達していないことを示します。
ハイドロタンク は、CE マーク(EU諸国へ輸出の際の安全基準条件を満たす証明)が有効な場所での使用について PED (欧州の圧力機器指令)にも認定されています。モジュールは CE PED モジュール B でした。 USA-21/06/289/001